Development story(2)

開発ストーリー「クリスタルサップeco」

ひとびとの暮らしに役立つ樹液

世界初開発の山ぶどう樹液化粧品原料「山のきぶどうクリスタルサップeco」も、樹液との思いがけない出会いが誕生のきっかけとなりました。樹液は樹木の内部に含まれる水分で、豊富な養分が春の芽吹きを促すなど、樹木の成長に大きな役割を果たします。古くからひとびとの暮らしにも取り入れられ、北欧フィンランドでは健康のために白樺樹液を飲む習慣があります。また、メープルシロップはサトウカエデの樹液から作られていて、煮詰めることで樹液の糖分が凝縮され、あのように甘いシロップになるのです。現在では、白樺樹液もサトウカエデ樹液もその優れた成分から、化粧品原料としても利用されています。

 

山ぶどう樹液との奇跡の出会い

2011年(平成23年)3月、久慈地域は積雪1mを超える大雪となりました。標高450mにある自社農園に通じる道路は通行止めとなり、雪溶けを待って例年より大分遅れて枝の剪定を行うことになりました。これまでは積雪30㎝程度だったため剪定には支障がなく、ここまで遅れるのは初めての経験でした。そして、4月上旬に剪定を行ったところ、鋏を入れた枝先から透明な樹液が静かに滴り落ちはじめました。通常の剪定時期には枝を切っても樹液は出ないため、これが樹液との初めての出会いでした。

 

山ぶどう樹液の可能性研究へ

自らも園地で剪定作業をしていた代表取締役・佐々木茂が、滴り落ちた山ぶどう樹液を舐めてみたところ味も香りも無く、まるで水のような感覚でした。そして、試しに手にすりこんでみると、樹液がスッと肌になじみしっとりとした感触がありました。早速、当時山ぶどうポリフェノールの共同研究をしていた東京農工大学と岩手県工業技術センターに相談したところ、山ぶどう果汁や残渣の高い抗酸化性が実証されていることから、「樹液にも優れた成分や機能が含まれる可能性があり、研究に値する素材である」との助言を得て、2013年(平成25年)から樹液の事業化に向けて研究開発を開始しました。

 

肌への効果から化粧品原料を開発

山ぶどう樹液は世界にも例のないまったくの新規素材のため、開発に当たっては成分分析をはじめ安全性や有用性を確認するための試験を時間をかけて実施しました。その結果、山ぶどう樹液には各種糖類やリンゴ酸などの有機酸、アスパラギンやグルタミンなど美肌効果で知られるアミノ酸が豊富に含まれ、肌の保湿や細胞の活性化などが期待できることから、化粧品原料として優れた可能性を持つことが分かりました。そこで化粧品原料として製品化を進め、2016年(平成28年)世界初の山ぶどう樹液化粧品原料「山のきぶどうクリスタルサップeco」を発売しました。

 

有機無農薬で育ち、年に2週間しか採れない希少原料

「山のきぶどうクリスタルサップeco」に使われる樹液は、開園以来有機無農薬で育てられた自社農園の山ぶどうからのみ採取されます。そして、樹液が採れるのは年に一度、4月の2週間程度だけ。樹液は樹の生育の養分なので、芽が膨らみ葉が出始めるとそちらに供給され、枝を切っても樹液は出なくなります。まさに、樹液は自然の恵みをほんの少しおすそ分けしていただいたものなのです。また、多くの植物性化粧品原料は溶媒を使い抽出して製造されますが、山ぶどう樹液は採取した樹液をそのまま製品化しています。希少な天然素材を使った化粧品原料、それが「山のきぶどうクリスタルサップeco」です。

枝から滴る樹液

山ぶどうの芽吹き

採取したばかりの樹液